MX100インタービュー

VOL.10 横関敦 (ギタリスト)
VOL.10 横関敦 (ギタリスト)
様々なメタルシーンにおいてバンドで、そしてソロで活躍し、その指技の冴えは“ジェット・フィンガー”の異名を取る横関敦さんが、ファン待望であったベストアルバム『ジェット・ベスト』を携え、MX100と初対面した。「まず俺のアルバムじゃないのを聴かせてよ」と言いつつクラプトンをチョイスした “ジェット・フィンガー”の感想は、少し意外なものだった。
録音現場からリスナーまでの距離が短くなった 録音現場からリスナーまでの距離が短くなった
 「これはギタリストとしては厳しいものがあるよ。スタジオでは聞こえていても家庭用のオーディオだと気づかないような演奏のミスまで、みんなわかってしまうからね。特に全体が鮮やかになっているから、空間の部分、音の出ていない部分をよく再現していて、例えばアコギ(アコースティックギター)で音の変わる瞬間のノイズまで全部聞こえてくるんだ」
 そういう音は、ギタリストとしてはオーディオで出してほしくない?
 「そんなことはない。そういう音が聞こえるような環境なら、もっともっと細かい部分まで気にして弾くようになれるから。自分に置き換えて考えると、普段からMX100みたいな音で聴いていたら、プレイも変わってくるんじゃないかな。変な音が鳴ってるなと思ったらもう一回やってみようと思うじゃないですか。
 例えば速弾きに関しても、まず耳が先に行かないと、練習しても指は速くならいんですよ。まず上手いギターを聴いて耳のレベルを上げる。それから初めて指が追いついてくる。だから、聴いた時にこういうふうに細かなフレーズまで埋もれないで聞こえるということは重要だと思う。この辺はギタリストとして感じた部分だけどね」
 では、もっと広い意味でのミュージシャン、そして一人の音楽好きとして聴いた時に、どう感じたのだろう。
 「MX100のようなオーディオシステムで聴くと、アルバムのイメージが変わるんじゃないかな。すごく鮮明で、いろんな音がクリアに聞こえて来るから、マスクされていたものがはがされる感じがあって、繰り返し聴いた曲なのに、今日新しい発見があったからね。
 例えば70年代の録音は今聴くと古く感じるかもしれないけれど、アナログテープで録音しているので音は太いし、レコーディングされたときの音は良いはずなんですよ。録音が新しくなると鮮明になる反面、細く感じることも多いんだけれど、MX100のサウンドはそうじゃなく、当時の音の太さのまま鮮明に再現できるんだと思う。だから、録音の場で、マイクで拾った音を純粋に出してくれるんじゃないかな。何より、録音現場からリスナーまでの距離が短くなったという感じがする。だから、すごいリアル。目の前で演奏してるみたいな感じさえするよ。
 しかも、こんなに小さいのに広がりもパーンと出て、無理矢理広げた感じもない。やっぱり基本がしっかしりてるからなんだろうなあ」
マスタリングのときとそんなに変わらない音で聴ける
マスタリングのときとそんなに変わらない音で聴ける  続いて、横関さん自身の『ジェット・ベスト』から「Tears of Sphinx」(アルバム『RAID』より)をかける。
「これ、ドラムはカーマイン・アピスなんですが、しくじってる音が何発かあるんですよ(笑)。マスタリングのときにはあまり気にならなかったけれど、MX100だと、そういうのがすごく出ますね。それだけ生々しく来てるということなんだけど。
 カーマイン・アピスもそうなんだけれど、上手いドラマーっていうのはEQをかけなくても、自分の音を出してるんですよ。何が違うかというと、金物、特にハイハットが一番違う。下手な人はうるさいだけになるんだけど、上手い人はきれいな音で、でもしっかり出している。MX100ではそういう違いがちゃんと再現されているから、自分でも今聴いて思ったんだけれど、このときにスタジオで演ってた雰囲気がすごく思い出されるんだ。それだけ、ちゃんとしたスタジオモニターのレベルに近いんじゃないかな。マスタリングのときとそんなに変わらない感じで聴けるからね」
 それは褒めすぎでは?
「そんなことはない。俺はあるときから、ギターの音は帯域ごとに別のギターアンプの音をマイクで拾って、それらをミックスして音作りをしてるんだけど、だめなオーディオシステムで鳴らすと、聞こえて来る音と聞こえて来ない音ができてしまって、変なバランスになってしまう。でもMX100は、さっきも言ったけれど、レコーディングのときにすごく近い音で鳴ってたんだ。
 本当はみんなこれくらいの音で聴いてくれるといいんだよね。日本だとどうしても、最後にラジカセでちゃんと聞こえるようにとEQをかけてしまうから。アメリカ人てそういうことを考えて作ってないんだよ。特にロスでレコ-ディングしたときには、バーンと鳴らして、気持ちよければOKみたいな。俺の中では、その、80年代のロスの感じが気に入っている。そういうダイナミックさと、輪郭がかっちりしている鳴り方が両方出てくるのがJBLだなと思うね」
 奇しくもJBLの所在も同じカリフォルニア。それだけに、横関さんの目指すサウンドとの共通点も多いのかもしれな。
「MX100、デザインもカッコイイし、部屋に置いておきたいな。しかも、俺らの世代って、この“JBL”のロゴがちょっと憧れだったりするからね(笑)。部屋で練習するのに、MTRからライン入力して鳴らすのもいいかな。これだったら、間違いないからね、音が」
横関 敦(よこぜき・あつし)
●1983年
本城未沙子のバックバンドに参加。
●1985年
5月 BRONX 1stアルバム「EASTER」(ポリドール)リリース。
11月 1stソロアルバム「JET FINGER」リリース。
●1986年
2月 BRONX 2ndアルバム「ILLUSION OF MR.MORPHINE」リリース。
10月 2ndソロアルバム「GET AWAY」リリース。
●1987年
5月 BRONX 3rdアルバム「ON THE STEEL BREEZE」リリース。
●1988年
11月 3rdソロアルバム「BRILLIANT PICTURES」(テイチクBADIS)リリース。
12月 筋肉少女帯レコーディングに参加。ゲストギタリストとして、ツアーでも活躍。
●1989年
10月 4thソロアルバム「DINOSUR」(コロムビアTRIAD)リリース。
山瀬まみのアルバム「親指姫」(キング)をサウンドプロデュース。
●1989年
11月「バカウマロック!のとりあえずTOUR」スタート。
●1990年
7月 5thソロアルバム「SEA OF LOVE」リリース。東名阪ライブを行う。
●1991年
10月 SOY SAUCE SONIX 1stアルバム「NUDEZILLA」(ビクター)サウンドプロデュース。
12月 GENDA×BENDA 2ndミニアルバム「Heroines」(東芝EMI)サウンドプロデュース。
●1993年
4月 プロジェクト企画アルバム「RAID」(マーキュリー)リリース。
●1994年
1月 LANCE OF THRILL 1stアルバム「THRILL SHOW」(徳間ジャパン)リリース。
6月 LANCE OF THRILL東名阪ライブを行う。
6thソロAl.「EMPTINESS」(マーキュリーリリース。)
●1995年
6月 LANCE OF THRILL 2ndアルバム「POISON WHISKY」(徳間ジャパン)リリース。
●1997年
THE SLUT BANKS 1stアルバム「死霊の激愛~Do or die」(日本コロムビア)リリース。
●1999年
THE SLUT BANKS 2ndアルバム「死霊光線~Evil Beam」(日本コロムビア)リリース。
●2000年
THE SLUT BANKS ベストアルバム「死霊終了~Evil the end」(日本コロムビア)リリース。
●2001年
BLOOD CIRCUS1stアルバム「BORN TO LOVE」(ULF RECORDS)リリース。
メンバーはLOUDNESSのドラム樋口宗孝、ベース山下昌良、元LANCE OF THRILLのヴォーカル土橋宗一郎。
●2002年
大槻ケンヂのアルバム「対自核」(徳間ジャパン) にゲストギタリストとして参加。
●2003年
三柴理のアルバム「Pianism」(徳間ジャパン)にゲストギタリストとして参加。
10月 7thソロアルバム「G.T.Resonator」(キング)リリース。
●2005年
JAM Projectにライブメンバーとして参加。
●2008年
謎の女声シンガーMADAM REYのアルバム「Madam Madam」にサウンド・プロデュース&ギターで全面参加。
9月 筋肉少女帯デュー20周年記念公演“サーカス団、武道館へ帰る”にゲスト出演。
■『ジェット・ベスト』(サウンドホリック/YZHH-9001/\3000/3月25日発売)
“ジェット・フィンガー”横関敦が、過去にリリースしたソロ作品を選りすぐったファン待望のベスト。現在すべて廃盤/製造中止となっている『JET FINGER』『DINOSAUR ~REMEMBRANCE OF 900,000,000 YEARS AGO』『SEA OF JOY ~REMEMBRANCE OF 900,000,000 YEARS AGO』『RAID』『EMPTINESS』『G.T.RESONATOR』など7枚のアルバムから14曲を収録。
[収録曲]Jet Finger from/Mother Nile/Violent Waves of Dinosaur/Active Volcano/Victim of Strong ~Tyrannosaurus~/Sea of Joy/The Desire/September 1990/Tears of Sphinx/Boundless/Preparation for Action/Moonsaurus ~Fantastic Story~/Tears of the Crown/D.A.I