MX100インタービュー

Vol.7 速水 直樹 (湾岸音響 チーフ・エンジニア)
湾岸音響は、その名の通り東京湾にほど近い倉庫街の一角にあるレコーディング・スタジオだ。広くて天井の高いブースは、生楽器を大音量で鳴らすことができるライブネスを持っており、そのコンセプトから音の響きを大切にしていることがわかる。
JBL初の一体型オーディオ・システムMX100は、ここでCD制作の過程で音を確認するために使われている。音作りのプロの耳にかなったポイントはどこだったのだろうか。チーフ・エンジニアの速水直樹さんにお話をうかがった。
音楽の好きな人が家庭で使っている オーディオ装置の代表として導入音楽の好きな人が家庭で使っている オーディオ装置の代表として導入
 この日案内されたのは、XL、Lと2つあるスタジオのうち、比較的コンパクトなLのコントロール・ルーム。ここも天井が高く、手作りの内装による吸音と拡散・反射がバランス良く組み合わされて、音響的に心地よい空間になっていた。その片隅にMX100がセットされている。
「我々がメインとしているスタジオ・モニターで聴くようなスタイルでは、CDを買って聴かれる皆さんとは聴き方が違ってしまう可能性があります。普段の生活の中では、スピーカーの真ん中に座って対峙するような聴き方はあまりしないじゃないですか。だから我々がCDのための音作りをする際にも、ベスト・ポジションではない場所で聴いたり、家に持ち帰って聴いたり、あとiPodで聴いてみたりと、いろいろなシチュエーションで聴くようにしているんです」
 その中で、MX100はどんな役割を果たしているのだろう。「基本的にはモニタースピーカーで音を作っていくわけですが、このコントロールルームの中でも、一般家庭を想定したようないろいろなシステムで確認するという作業をしています。極端な例ではチープなラジカセの場合もありますが、音楽の好きな人が家庭で使っているオーディオ装置の代表として、伝統のあるオーディオ・メーカーの出したハイグレードな一体型システムということで、このMX100をチョイスしました」
 MX100を導入する決め手となったのは?
「第一に音質が良いこと、そしてライン入力が付いているということでしたが、こういう一体型のシステムでライン入力がついているというモデルは意外に少ないんです。もちろんCDもかかるし、iPodのドックも付属しているから、打ち合わせのときなどにお客さんが自分で操作して音を出すことも簡単にできます。時計もついていますし、便利ですよ」
音にスピードがあって気持ち良いし、音楽を格好良く聴かせようという思想を感じる
音にスピードがあって気持ち良いし、音楽を格好良く聴かせようという思想を感じる では「音質が良いこと」という、プロの現場に導入されるための第一条件を満たしたMX100のサウンドとは?
「まずウーファーの反応が非常に良いですね。MX100はそういう意味でも時代に合っている新しい音だと思いますし、それでいて高域の伸びとかボトム(低音)の豊かさとかが、JBL独特のサウンドになっています。ボーカルがきれいに聞こえるというも、大きなポイントではないでしょうか」
 と、実際に鳴らしていただいたのだが、モニタースピーカー同様の遠慮のない大音量であることに驚く。しかしこのサイズながら30W+30Wのパワーを持つMX100は迫力のある音でしっかりとそれに応えていた。
「普段我々が聴くレベルの大音量でも音が崩れない。非常にパワフルですね。また、比較的ボリュームを絞って聴いたときでも、低音が十分に出ていますので良いバランスが保てます。しかも音にスピードがあって気持ち良いし、音楽を格好良く聴かせようという思想を感じます」
 最後に、音のプロからの視点で、MX100を家庭で使用する場合の注意点などを教えていただくとすれば?
「ここではしっかりした台に置いて、メタルのインシュレーターを使ってセットしています。これがベストとは言いませんが、ヤワな台の上に置くと台自体が鳴ってしまい、低音のバランスを崩してしまう場合がありますので注意した方がいいと思います。あと、背面にバスレフのポートがありますので、それを壁から少し離してあげるとよりクリアな音で聴けるかもしれません。いろいろな置き方をして自分なりに音の変化を発見するという、立派にオーディオしている気分になれますよ(笑)。
 とは言っても、MX100は難しいことを考えなくても良い音で鳴りますし、生活に音楽を溶け込ませてくれるシステムだと思います。今、一般の家庭では大きなスピーカーを2本並べておくようなスペースがなかなかないじゃないですか。コンパクトな一体型で、しかも気持ちよく鳴ってくれるMX100ならば、肩肘張らないで常に音楽と楽しく付き合うことができると思います」
湾岸音響(わんがんおんきょう)
 スタジオの大きさと、内部の音響への気遣いを最大の特徴とするレコーディング・スタジオ。「音を扱いやすくするためにはデッドにしてしまった方がいいのですが、スタジオで音を鳴らしたときに響きが良ければ、プレーヤーさんもより気持ちよく演奏できますからね」とチーフ・エンジニアの速水さんは言う。特にスタジオXLは125平方メートルの広さと5mという高い天井を持つ、たっぷりとした空間のライブ・ルームで、アコースティック楽器の響きを生かしたレコーディングにも対応している。
 ホームページはhttp://www.wgrec.com/。湾岸音響の音へのこだわりや日常の出来事を綴った「週刊湾岸」も読める。MX100の話題もあるので、探してみては? また、秘宝の洞窟ではこれまで湾岸音響にてレコーディングされたCDの数々を見ることもできる。
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