MX100インタービュー

Vol.4 須田 祥子(東京フィルハーモニー交響楽団首席ヴィオラ奏者)
日本で最も歴史あるオーケストラ、東京フィルハーモニー交響楽団の首席ヴィオラ奏者を務める須田祥子さん。日常生活のあらゆる音が音符になって聴こえる、絶対音感の持ち主である須田さんは、プライベートでは「音のない生活」を送ることの方が多いという。MX100との出会いは、そんな須田さんのライフスタイルを変える出来事だった。
*当インタビューで使われている試聴機は、量産前の最終試作品のためディスプレイ部の色が実際とは異なっております。ご了承下さい。
このサイズであの音が出るなんて! オーケストラにも共通する、バランスの取れた音像作りこのサイズであの音が出るなんて! オーケストラにも共通する、バランスの取れた音像作り
 メジャーな映画館やビッグ・アーティストのステージなど、プロフェッショナルなサウンドが流れる場所にはいつも、JBLの大型スピーカーがある。この日、須田祥子さんは、そんな巨大なJBLスピーカーのイメージを抱いて試聴ルームにやってきた。
 最初に聴いた音源は、マーラーの『交響曲第9番』。2006年2月、神奈川・鎌倉芸術館大ホールで行われた「東京フィル 鎌倉特別演奏会」(指揮:チョン・ミョンフン)のライブ録音で、須田さんが首席ヴィオラ奏者として東京フィルに入団して間もなくの演奏会だった。記録用音源が収められたiPodをMX100にセットし、第1楽章の壮大な音色にしばし聴き入る。「……うん、すごいですね…。えっ? 両サイドのスピーカーから出てる音じゃないの? ホント!?」
 たまたまこの日は、MX100の両脇に、JBLモニタースピーカー「4307」があったのだ。「完全に両脇にあるスピーカーから音が出ていると思ってました。まさか、あのサイズでこの音が出るなんて!」
 交響曲となると、オーケストラも100人近い大編成。ヴィオラは、音域的にはヴァイオリンとチェロの中間に位置し、オーケストラの中ではメロディラインを下支えする重要な存在だが、「普通は、中音域だけをきっちり聴かせるようなミキシングはしないので、一般の方がヴィオラの音だけを聴き取るのは難しいでしょうね。私は、譜面がきっちり頭の中に入っているので、メロディラインを聴かずに自分のパートの音だけを聴くこともできます。そういう耳になってしまっているんです」
 須田さんがリモコンでiPodを操作して、第4楽章の始まりへ。スケールの大きなストリングスの柔らかな音色が鳴り響く。アコースティック・サウンドの再生に定評があるJBLならではの、懐の深い「いい音」。
「いいスピーカーって何が違うのかしら?」と首を傾げる須田さん。高音域、中音域、低音域それぞれのバランスの取れた再生が、オーディオ設計者の腐心するポイントの一つ、という説明に、「バランスですよね。オーケストラで演奏する私たちも、バランスには一番気を遣います。でも、こういう曲を演奏すると、確実に寿命が縮みますね(笑)。全曲90分。1楽章と4楽章だけで約30分ずつあるので、演奏する方も体力勝負です」。
MX100がライフスタイルを変える
MX100がライフスタイルを変える 須田さん、じつは音楽を聴くのは、サラウンド・スピーカー付きの愛車ベンツの中がほとんどだという。「理由は、所有しているオーディオの中では、カーステレオの音が一番いいから(笑)。普段は、音に追っかけられてるような生活をしているので、特にキツい演奏会の後などは、家に帰ってテレビの雑音を聴きたくなることが多い。一般的なミニコンポも持ってはいるけれど、それで音楽を楽しむことはほとんどありません」
 というのも、絶対音感を持つ須田さんには、救急車のサイレンもピーポーピーポーではなく「シーソーシーソー」という具合に、日常のあらゆる音が音符で聴こえてしまうからだ。「あまり気分がいいものではないですよ(笑)。音にこだわり始めるとものすごくこだわるので、意識的にあえて一線を越えないようにしているのかもしれない」
 そんな須田さんの耳に、MX100のサウンドはどんな風に聴こえているのだろう?「ヴィオラの音が中心に聴こえていて、その周りにほかの楽器の音が音符になっている状態。でも普通は、ダンゴ状態になっていることがほとんどなのに、MX100はきちんとヴィオラの音が聴き取れます」
 クラシック以外に最近、プライベートで聴いたものといえば、「ヴォーカルなしのオールディーズ系のジャズを少し。最近共演が多い、ピアニストの小曽根真さんのCD」。あとは、気配を感じる程度に付いているテレビの音。優れた耳を持つが故に、中途半端な音ならない方がましという感覚は、理解できるような気がする。
 JBL初の一体型・本格オーディオは、30W×2の大出力アンプと125mmウーファーと19mmツィーターを内蔵。左サイドに同時充電が可能なiPodドックを装備していて、CDプレーヤーとFMチューナーを搭載している。
「これ買います。今日、持って帰りたいくらい(笑)。頭の中でいま、MX100を部屋のどこに置こうか、シミュレートしてます」
「音のない生活」がリラックスタイムだった須田さんのライフスタイルを、MX100が変えようとしている。
須田 祥子(すだ さちこ)
桐朋学園大学を首席で卒業。2002年洗足学園大学音楽総合研究所「ソリストコース」特別研究員履修を修了。ヴァイオリンを室谷高廣氏、ヴィオラと室内楽を岡田伸夫氏に師事。第7回日本室内楽コンクール、第23回プレミオ・ヴィットリオ・グイ国際コンクール、第2回淡路島しづかホールヴィオラコンクールなど国内外のコンクールにおいて全て優勝。現在、東京フィルハーモニー交響楽団首席奏者、洗足学園大学非常勤講師。
【東京フィルハーモニー交響楽団HP】http://www.tpo.or.jp/
■オーチャード定期演奏会(東京・Bunkamuraオーチャードホール)
2008年11月30日(日)指揮:チョン・ミョンフン 演目:モーツァルト『証聖者の荘厳な晩●(示へん+壽)K.339』、マーラー『交響曲第4番 ト長調』
2009年1月25日(日)指揮:ペーター・シュナイダー 演目:モーツァルト『交響曲第41番ハ長調 「ジュピター」K.551』、R.シュトラウス『ばらの騎士』組曲、楽劇『サロメ』より“七つのヴェールの踊り”
2009年2月22日(日)指揮:チョン・ミョンフン 演目:ヴェルディ『レクイエム』
■東京オペラシティ定期演奏会(東京・オペラシティコンサートホール)
2008年11月21日(金)指揮:チョン・ミョンフン 演目:ルトスワスキ『ピアノ協奏曲“クリスチャン・ツィメルマンに捧ぐ”』、マーラー『交響曲第4番ト長調』
2009年1月29日(木)指揮:ペーター・シュナイダー 演目:ベートーヴェン『交響曲第4番 変ロ長調op.60』、ワーグナー楽劇『ニーベルングの指環』より抜粋
2009年2月19日(木)指揮:チョン・ミョンフン 演目:ヴェルディ『レクイエム』
■サントリー定期演奏会(東京・サントリーホール)
2009年1月30日(金)指揮:ペーター・シュナイダー 演目:ベートーヴェン『交響曲第4番変ロ長調OP.60』、ワーグナー楽劇『ニーベルングの指環』より抜粋
2009年2月27日(金)指揮・ピアノ:チョン・ミョンフン ヴィオラ:須田祥子 演目:ブラームス『ピアノ四重奏曲第1番ト短調op.25』、ブラームス『バイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調op.102』、ブラームス(シェーンベルク編)『ピアノ四重奏曲第1番ト短調op.25』
■東京フィルハーモニー交響楽団ニューイヤーコンサート
2009年1月2日(金)・3日(土) 指揮:小林研一郎 会場:東京・渋谷Bunkamuraオーチャードホール 演目:ラヴェル『ボレロ』、スメタナ『「わが祖国」より“モルダウ”』
●各問合せ先:東京フィルチケットサービス ☎03-5353-9522