MX100インタービュー

Vol.2 田中一郎(ギタリスト)
元ARB、甲斐バンドのギタリストとして、今なお数多くのアーティストに影響を与えている田中一郎さん。カッティング・ギターの名手は、上京して間もなくJBLスピーカーのプロサウンドに衝撃を受けたという。
少年の頃からJBLは憧れの「一級品」だったという田中さんに、JBLの新製品「MX100」に対面してもらった。
*当インタビューで使われている試聴機は、量産前の最終試作品のためディスプレイ部の色が実際とは異なっております。ご了承下さい。
JBLのニュアンスを家庭で聴きたい。そんな製品があればいいと、ずっと思っていた。JBLのニュアンスを家庭で聴きたい。そんな製品があればいいと、ずっと思っていた。
 プロサウンドをマイサウンドに。それがJBLの新製品MX100のキャッチフレーズだ。甲斐バンドの一員として現在全国ツアー中のロック・ギタリスト、田中一郎さんはまず、そのコンセプトを「斬新だよね」と形容した。レコーディングの現場では、ミックスダウン後は必ず、小型のラジカセでサウンド・チェックするため、「スタジオのエンジニアはみんな、手頃な値段でバランスのいい音を聴かせるラジカセを探している」。ユーザーが、家庭で実際に聴いている音を確かめるためだ。
 一般家庭でプロ仕様のオーディオ環境があるわけもない。けれど、プロが作るサウンドはできるだけいい音で聴いてほしい。そのためにも、「JBLのニュアンスを家庭で聴ける(サイズの)ものがあればいい、とずっと思っていました」と、田中さんはいう。“家庭で世界音質のサウンドが楽しめる一体型オーディオ”MX100が、その願いを実現してくれた。
 一番に試聴したのは、スティーリー・ダンの『彩(エイジャ)』。続いて、ドゥービー・ブラザーズのアルバム『トゥールーズ・ストリート』。「いいねぇ(笑)。コンサートの楽屋にあったらいいのに。東京に来て初めて、レコーディング・スタジオで聴いた洋楽の音。そういう感じがする」。
 上京して間もない頃。プロとして初めて臨んだレコーディング・スタジオには、JBL4311というモニタースピーカーがあった。「ボリュームを下げていても、中音域から高音域への音の分離がものすごくよくて、プロの現場は、こんないい音を聴いているのかと、すごいショックでした」。それが、田中さんのJBL初体験。19歳だった。
 70年代洋楽サウンドの洗礼を受けてエレキ・ギターに夢中になった田中さんが、次に選んだのは21世紀のサウンドといえる7弦ギターと5弦ベースの重低音が独創的なKORNだった。アルバム『アンタッチャブル』を聴きながら、「超Lowのピッチがバリバリわかりますね。7弦ギターのコード進行がこんなにきれいにわかる音は初めて。普通、ここまで再生できないから、何度聴いてもコピーできないんですよ。ちょっとショック!」
「ツィーターの解像度がものすごく高いってことだね」と、くっきり鮮明な音像に驚きを隠せない。「ホントにレコーディング・スタジオみたい。これは、ミニ・スタジオですよ」
音の動きが見える!音質解像度の高さに感動
音の動きが見える!音質解像度の高さに感動  ARB時代のアルバム『トラブル中毒』『W』、そして、10代の頃に憧れたギタリストのウィルコ・ジョンソン率いるDr.フィール・グッドと立て続けに聴いて、「どの音を聴いても、解像度の高い音質に感動する」という田中さんが、突然、あるギター・フレーズをくり返し聴き始めた。曲は、イーグルスの「駆け足の人生」とローリング・ストーンズの「ブラウン・シュガー」。「圧縮ソースでこれだけクリアに聴こえるんだもんね」と感嘆しつつ、曲中の短いフレーズを、iPodを操作しながら、スピーカーに耳を近づけ、それぞれ10数回は聴いただろうか。「1曲目の“駆け足の人生”では、リバーブをかけたギターの音が、真ん中から右に消えてるんですよ。“ブラウン・シュガー”は、(左スピーカーから本体中央あたりを指さしながら)チャッチャッという音がこの辺まで流れてきていると思ったら、ここで止まっているんですよねぇ。今までに聴いていた音源と印象がすごい違うのがおもしろい。普通は、そんなにキャッチできないもん。スタジオ録音の段階で、いろんな歌とか楽器はリバーブやエコー処理されているでしょ。もちろん録音状態の善し悪しもあるけれど、それとは別に再生装置の段階で音の分離が悪いと、音がまざりあって濁ることがあり得るんですよ。再生装置の中で濁らなければ、元々作った音が聴こえるのだから」
 家庭用ミニコンポとほぼ同サイズなのに、音の動きが体感できるなんて! 再生能力の高さ、MX100ならではのプロサウンドを実感した瞬間だった。バンドのギター・キッズがMX100を入手したら、きっとこの日の田中さんのように、お気に入りのフレーズをくり返し再生してコピーに熱中するに違いない。
 トーンコントロールを排し、解像度の高いハイファイサウンドをバランスよく響かせる。MX100には、できるだけ生音に近いナチュラル音源をユーザーに届けるという、設計者の哲学がある。「基本的に賛成。(音の再生は)ムダな音を変える装置なしで、いかにいい音に到達できるかどうかですから。この音だったら、純粋に音楽を楽しもうと思える」
 現在、甲斐バンドの22年振りの大規模ツアー真っ最中。甲斐バンド最後のツアー、ファイナルは2009年2月7日(土)、日本武道館公演が決定した。「こんなにいい音を聴かせてくれるなら、ライブの後、部屋の真ん中にMX100を置いて、今夜は部屋飲みしようっていいたくなる(笑)」
 MX100がツアーに同行するのも、きっともうすぐだ。
田中 一郎(たなかいちろう)
1954年 ストラトキャスター生誕の年に福岡市に生まれる。1977年、石橋 凌らとロック・バンド「ARB」結成。6年間在籍し、7枚のアルバムをリリース。ギター・スタイルの確立、そして作曲とアレンジに明け暮れた日々だった。1983年「甲斐バンド」に加入。1986年「甲斐バンド」解散。1988年にソロ活動開始。同時に、多数の依頼によってプロデュース活動もスタートさせる。2006年7月 憧れの東京・日比谷野外音楽堂で「ICHIRO TANAKA Presents“R&R CONVERSATION in HIBIYA”」ライブを敢行! 2008年秋、甲斐バンドのバンド名義最後となる全国ツアー(20数カ所のツアー)中。
■ライブ・スケジュール  
12月23日(火・祝)東京・梅島 YUKOTOPIA『恒例・謳い納め独演会』
開場16:30 開演17:00/料金:前売¥4000、当日¥4500/問い合せ先:同☎03-3886-2996

■甲斐バンド・ツアー“BEATNIK-TOUR08-09”
来年2月まで続く全国ツアーのファイナルが、2009年2月7日(土)東京・日本武道館に決定。
問い合せ先:ディスクガレージ☎03-5436-9600